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東京猫物語 第九十一話ー①  [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第九十一話(最終話:散会ー① 

二月末、猫町のバアサン妹が突然倒れて入院しました。そして、何日も経たずに亡くなりました。葬儀の後、バアサン姉も体調を崩して入院しました。
三月に入ると、α社のおねえさんに転勤の内示が下りました。
「ほっほっほっ。これでもうおしまいね。猫町公園も静かになるわ。今の内に飼主が見つかりそうな猫は、誘拐してしまうといいわよ。首輪も付いていないのだから構わないわ。α社のおねえさんたちには黙っていればいいのよ」
写真屋の女性店主が勝ち誇ったように言いました。
譲渡会
猫町の写真屋さんは、店舗併用住居に二十匹以上の猫を抱えています。某動物愛護団体に所属し、四十歳を過ぎても結婚せず、父親から受け継いだ店をお母さんと一緒に守っています。写真屋さんは予てからα社のおねえさんとバアサン姉妹の行動に批判的でした。猫の食事を置いたままにしたり、来園者の見ている前で猫たちを集めて世話をしたり、里親探しにも消極的だったり、α社のおねえさんに苦言を呈することも何度となくありました。
(続く)

もうすぐ 完結! 猫のおはなし

以上
管理人
2017.04.30

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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