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東京猫物語 第八十七話ー① [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十七話:飼い猫との暮らし 壱 就寝中ー①

(昔、初夏の頃です)

夢現の中、薄ら寒さに目が醒めた。
未だ夜明け前。
普段、私は和室に布団を敷いて寝ている。
今、私は布団の外。何故か直畳に横になっている。
掛けていた厚手のタオルケットは敷き布団の上。
猫が布団のど真ん中でお腹を出して寝ている。
枕の横に、ちょこっと遠慮がちに寄り添っていたはずの猫。
仰向けに伸びて熟睡している。実に心地好さそうだ。
以後、同じような事が何度か繰り返された。
就寝中
ある夜半、私は目が冴えていた。
就寝前、珈琲を飲み過ぎたせいだ。
その夜も私は枕に腕を掛け、弓型に寝そべっている。寝返りをうって、
隣に寝ている猫を潰さないように。何て思い遣り深いのだろう。
しかし、飼主の親心は通じなかった。
やがて猫は、私の体に密着させていた四足を突っ張り始めた。
ぐいぐい押してくる。せいぜい六キロ弱の猫、結構力が強い。
「おい、寝惚けているのか?」
猫は目を閉じている。
圧力を避けている内に、自然と私の体は布団の外へ。
「なあるほど」
その夜、私は全てを理解した。
(続く)

以上
管理人
2017.1.29

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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