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東京猫物語 第八十三話ー⑨ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十三話 里親会の顛末弐ー⑨

看護助士おばさんと里親女が揃って頷きました。
獣医師は左手で猫を押さえながら、診察台の隅に置いたチラシに目を移しました。
「色と模様もそっくりだから間違い無いわ」
今迄黙っていた里親女が、初めて口を開きました。
「そう言われればそうですが、色と模様は仔猫が成長するにつれて変わることは往々にしてありますからね。他に何かはっきりした特徴があればねえ」
獣医師はそう言い終えると、チラシを右手に取って診察台の上の仔猫と丹念に見比べました。

「うーん。ミイちゃん。ミイちゃん、ねえ」
何か手掛かりはないかと目を凝らしていた獣医師が、急に声を裏返して叫びました。
「え?ミイちゃん?雌?」
「ミイちゃんと言えば、お捜しの猫はチラシの通り雌ですよね?」
診察台を挟んで、獣医師と対面している二人はまた揃って頷きました。
すると、獣医師は重く立ち込めていた霧を吹き飛ばすかのように自信たっぷりに叫びました。
「ここにいる仔猫は雄猫ですよ!」
(続く)

あれー なんてことでせう 次回以降の展開は???
以上
管理人
2016.09.18

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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