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東京猫物語 第八十三話ー⑥ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十三話 里親会の顛末弐ー⑥

五分も歩くと、私たちは動物病院に到着しました。真っ白な新しい建物です。
中央のガラス扉から中に入ると、私たちの他に来訪者はいませんでした。
看護助士おばさんが受付で用向きを告げると間も無く、私たちは二部屋ある診察室の待合室に近い方の部屋へ通されました。その診察室は待合室とは引戸一枚で隔てられていて、受付のカウンター越しに待合室から中の様子が窺われます。

キャリーバッグを抱えた里親女と看護助士おばさんが先ず診察室に入り、里親女の姉が後に続こうとしました。しかし、診察室は四人も入るには狭く、私と里親女の姉は待合室へ戻りました。
「この猫がこの近所で逃げ出してしまった猫かどうか、確認してください。捜している猫の証として、左目の眼球に小さな傷がありました」
看護助士おばさんが、再度用向きを獣医師に告げました。
(続く)

以上
管理人
2016.08.21

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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