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東京猫物語 第七十九話ー⑯ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第七十九話 里親会弐ー⑯(まだ続いています)

「本当だ。あれでは暑いはずだ。水が飲みたいのかもしれない」
麻雀屋さんの指摘を受け、私が会長さんにその旨を伝えました。
会長さんがきじ虎仔猫のケージの上にタオルケットを被せていると、例の競馬ファンの女性会員が、何でもないという風に打ち消しました。
「猫は暑さに強いから大丈夫よ。あは あはは」
やたら調子が高いというか、声高という感じです。

確かに猫は寒さに弱い動物です。しかし、だからと言って暑さに強いという展開にはなりません。
「猫の祖先はリビア山猫で、暑い砂漠地帯に暮らしている。故に、猫は暑さに強い」などと言う人がいました。リビア山猫が炎天下にほっつき歩くはずはなく、日中は岩穴などで陽射しを避け、夜になってから活動を始めるはずです。日本の夏は湿度が高く、室内飼いの猫は暑気中りしてしまうこともあるので注意が必要です。

愛護家と名乗るからには猫の扱いに長け、確かな知識と豊富な飼養経験に裏付けされていると思っていたのに、私の先入観は吹き飛びました。しかし、初めて訪れた彼らの里親会で私たちがとやかく意見する立場になく、きじ虎仔猫には日除けがされたので私も麻雀屋さんも口をつぐみました。
飛び入り参加者の若い姉妹が、私たちの遣り取りに注目していました。
「お仕舞い迄には未だ少し時間がありますが、仔猫を家で休ませませたいので一足お先に失礼致します」
若い姉妹は自分たちの茶虎仔猫を連れてそそくさと会場を後にしました。
(続く)

以上
管理人
2015.10.18

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。

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