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東京猫物語 第八十四話ー③ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十四話:麻雀屋さんと猫-③

猫町の外猫ハナちゃんは、バアサン姉妹から食事を与えられています。
時々、マミがいない時だけ、ハナちゃんは雀荘に顔を出します。マミが威嚇してハナちゃんを寄せ付けないからです。ハナちゃんは去勢された雄猫です。とても人懐こく、雀荘にお客さんがいても平気でお店の床に寝そべっています。

「俺なんか自宅でカメレオンを飼っているんだぜ」
ある日、お腹を出して床に寝ころんでいるハナちゃんを見て、常連の若い男性会社員が自慢げに言いました。
「嫌になっちゃうわね。どうして野生の生き物を家に閉じ込めるのかしら」
麻雀屋の年配の女性従業員さんが、若い男性会社員に向かって言いました。
「野生動物はねえ、生まれ育った土地で自然のままに暮らしていくことが一番幸せなのよ。遠い国から環境の違う日本へ連れて来られて、あなたのお部屋で暮らす方が幸せな理由なんて全く無いはずよ。珍しがって外国のカメレオンを買(飼)うなら、飼主のいない犬や猫を飼えばいいじゃないの。犬とか猫は、人の傍で手を掛けないと生きて行けない動物なのよ」
相手が若い常連客なので、遠慮無く説教が続きました。

その後も、マミとハナちゃんが雀荘で一緒に過ごすことはありません。
二匹は別々に麻雀屋さんたちからかわいがられています。
(続く)

以上
管理人
2016.11.13

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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