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東京猫物語 第八十三話ー④ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十三話 里親会の顛末弐ー④

里親女の部屋の前に着くと、看護助士おばさんが呼び鈴を鳴らして名乗りました。里親女はすぐに出て来て私たちを部屋の中へ招きました。そこには里親女の姉も来ていました。
「すぐに済むでしょう」
私は入室を辞退し、部屋から出て来た里親女の姉と通路で立ち話をしました。
里親女の姉によると、看護助士おばさんは早く仔猫を見つけるように毎日里親女に催促し、時としてかなり高飛車な態度で接していたそうです。怖くなった妹(里親女)は、今日姉に同席するように頼んだという話です。

看護助士おばさんが入室してから二十分は経ったでしょうか。里親女の姉と話が尽きた時、二人が部屋の中から出て来ました。二人は晴れ晴れとした表情とは程遠く、里親女は仔猫の入ったキャリーバッグを右手に提げています。
「長かったですね。どうでした?」
私は看護助士おばさんに尋ねました。
(続く)

以上
管理人
2016.08.07

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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