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東京猫物語 第八十話―⑦ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十話 里親会の顛末 壱ー⑦

そうこうする内に、私たちは里親会場に到着しました。
会長さんもつい今し方到着したばかりの様子で、車の中の荷物を下ろしに掛かっていました。
看護助士おばさんは会長さんを掴まえ、事の成行きを早口で説明しました。そして最後に、仔猫の捜索を要請しました。
「会の方を動員して頂けないでしょうか?近隣一帯に捜索ポスターを貼り、チラシを投げ込み、仔猫の行方を聞き込みして頂けませんか?」

それを聞いた会長さんは、こめかみに青筋を立てて怒鳴り出しました。
「そんな事迄できるはずがないだろう。皆、忙しいんだ。あんたが里親に出したいと言うから出させてやったんだ。我々が会場を借りてはいても、里親に出すか出さないかは元親であるあんたの判断だ」
会長さんは言い放つと、看護助士おばさんとの話に幕を引いてその場を立ち去ってしまいました。
会長さんの傍らで黙って聞いていた女性会員の一人が発言しました。
「私たちはできる事を尽くしているわ。必ずしも上手く行かなかったからと言って、責められても困るわ。たくさん扱っているのだから、一匹くらいこんなことになっても仕方無いのよね」
(続く)

「ますますドロドロしてきましたね。でも、みんな実話なんです。ミイちゃんはいずこに?」
以上
管理人
2016.1.19



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