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東京猫物語 第八十話ー⑥ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十話 里親会の顛末 壱ー⑥

「これからどうすべきか考えましょう」
「いなくなった仔猫の為に、何ができるかが大切なのじゃないかしら」
私と麻雀屋さんが二人の間をとりなしました。
看護助士おばさんがこれ以上里親女を非難しても何の解決にもならないからです。
それから、どれ程立ち話を重ねたでしょうか。その結果、今後は双方で協力して仔猫の捜索に全力を尽くすという合意でこの場は収まりました。
近所一帯へ、仔猫の捜索ちらし二千枚の配布。
当地新聞に迷い猫の広告掲載。
毎日の仔猫の捜索継続。
里親女はこれらを実行すると約束し、私たちは引き揚げました。

私たち三人は、その足で里親会場へ向かいました。
車中、看護助士おばさんの怒りは収まりません。
「もう一週間にもなるのに。早く言ってくれたらすぐに捜したのに。ミイちゃんは無事かしら」
看護助士おばさんは一人で喋り続けました。
「私が全て悪かったのよ。あんな女を信じたから。でもね、里親会の看板掲げて良い飼主さんを見つける愛護団体だというから信頼して任せてしまったのよ。誓約書の取り付けにしても、会員が手続をしたのよ。専門家の集りだと思っていたのに。連絡先の住所だって私が後で会長さんに聞いたら、共同住宅なのに部屋の番号も書いて無かったのよ。管理会社を通じてやっと部屋を突き止めたのだから」
自分が全て悪かったと反省を口にするくせに、看護助士おばさんは愛護団体の責任をあれこれ並べ立てました。
「ああ、最初におかしいと思った時、すぐ部屋へ行けばよかったのよ。そうすれば未だ日も経っていなかったから、すぐに見つかったかもしれない」
(続く)

nice表示について、
付して頂いたいくつかの表示が消えてしまう事象が何度かありました。
ネット痴の私には原因がわかりません。ご迷惑やご不快な思いをおかけしないよう
判明まで表示を「しない」に設定いたします。ご了解ください。

以上
管理人
2016.1.11



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