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東京猫物語 第八十二話ー③ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十二話:猫婆狸婆ー③

看護助士おばさんの呼び掛けに応じた有志が公園猫たちの不妊・去勢に取り組んだ時、バアサン妹は「仔猫が見たい」と言って、お気に入りの猫に仔猫を産ませてしまいました。バアサン妹は母猫と二匹の仔猫を自宅に引き取らず、公園に放置してしまいました。
これは私たちのミスでした。
「もう絶対殖やさせない」
看護助士おばさんはまた募金を集め、私たちは二匹の仔猫が乳離れした頃合に飼主を探し、母猫に不妊手術を受けさせました。

「一匹で済んだのに。二匹増えて三匹になってしまったわ」
看護助士おばさんが不満をこぼしました。
「未だ少なく済んだ方よ。多い時には七匹も産むのだから」
麻雀屋さんたちが看護助士おばさんを慰めました。

お年寄であることを考慮し、今迄私たちはバアサン姉妹に不妊手術の協力金をお願いすることはありませんでした。しかし、「今回は費用を分担して貰いましょう」と、看護助士おばさんが強くこだわりました。
バアサン姉妹が安易に考えていると、皆の取り組みが徒労に終ってしまうからです。看護助士おばさんは、バアサン妹と麻雀屋さんの事務所で会う約束を取り付けました。何事も円滑に進むであろうと、この時、私は疑いませんでした。
(続く)

以上
管理人
2016.06.12

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。

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