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東京猫物語 第八十話ー③ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十話 里親会の顛末 壱ー③

日曜日の朝七時前、私は麻雀屋の年配の女性従業員さんと同乗してXXハイツの駐車場に到着しました。「弟の車に乗って来た」と、看護助士おばさんは待合せの場所に一人で立っていました。
約束を取り付けず、朝駆けです。前以て訪問の予定を告げると、ミイちゃんを隠されてしまう心配があるからです。仔猫が部屋にいる時に里親女を訪ね、即座に返還して貰う作戦です。日曜日の早朝から外出してしまうことは、まずないでしょう。

私たち三人は、二階建てのハイツに一つしかない階段を静かに上がりました。
看護助士おばさんと私が里親女の部屋へ向かい、麻雀屋さんは想定外のトラブルに備えて階段を上がった通路の端で待機しました。
看護助士おばさんが部屋の入口正面に立ち、呼び鈴を押しました。
私はドアから三歩ほど横に退きました。
部屋の中からがさがさ音が聞え、間も無くドアの後ろから「はい」と女の返事がありました。
看護助士おばさんは名乗らず、「おはようございます」とだけ声を掛けました。
(続く)

以上
管理人
2015.12.20

次回、はたしてみいちゃんは無事返してもらえるのか?

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。

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