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東京猫物語 第七十九話ー⑲ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第七十九話 里親会弐ー⑲

それから、すぐにまた私の携帯電話に連絡が入りました。
今度は「猫が欲しい」という話です。
「飼っている猫が尾に怪我をして、家に寄り付こうとしないのよ。娘が猫好きだから、代りに小さい仔猫にでもかい(飼い)替えようかと思って」
しゃがれた声の女性です。

全く呆れ果てた話です。命の尊厳も何もあったものではない。ろくでもない奴がコンタクトして来ます。
「かわいそうじゃないですか。怪我をしているなら早く捕まえて、病院へ連れて行ってあげればいいじゃないですか」
私は沸沸と煮えたぎる感情を抑え、電話の相手に告げました。
「あら、本当にそうねえ。何とか捕まえてみますわ」
そう言って女性は電話を切りました。電話の口調から、女性は少しとぼけた感じでした。
時間ばかりが経過し、結局モモちゃんの新しい飼主になる人は現れませんでした。
(続く)

:第七十九話は今回でおしまいです。次話は「里親会の顛末」

以上
管理人
2015.11.15

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。

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