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東京猫物語 第八十話ー⑬ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十話 里親会の顛末 壱ー⑬

若い里親女は看護助士おばさんとの約束を履行しました。
休み明けの週の半ば、里親女の地元の新聞には迷子猫の捜索広告が掲載されました。

看護助士おばさんは新聞を持って猫町公園に現れました。ミイちゃん捜索のちらしも新聞販売店に手配済みとのことで、看護助士おばさんは里親女の対応に満足している様子です。
私は看護助士おばさんから新聞を受け取り、猫の捜索広告に目を落しました。
「迷い猫。名前:ミイちゃん、性:雌、生後約三ヶ月、見つけた方はXX迄お電話下さい」
何かおかしい。私はもう一度よく掲載広告を見直しました。
「あれ。色も模様の特徴も書いていないよ。これ、白黒写真だから、どんな色か模様か分からない。それにどの辺りで行方不明になったのかも書いてない」
私は広告内容の不備を指摘しました。
看護助士おばさんはひどくがっかりして、溜息混じりに言いました。
「本当。これではミイちゃんは見つからないわ。すぐにやり直して貰いましょう」
看護助士おばさんは里親女に「電話する」と言って、慌てて公園から立ち去りました。
(続く)

以上
管理人
2016.3.21

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。

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