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東京猫物語 第八十話ー⑪ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十話 里親会の顛末 壱ー⑪

帰途車中、看護助士おばさんは拍車を掛けて怒りをぶちまけています。
「だいたいあの会はなっていないのよ。愛情も足りないし。真冬の寒い日でも猫を外に展示しているし、他の会がやっているようなビニールの風除けも、カイロも無しなのよ。拾った猫を蚤がいるまま譲渡したり、猫エイズや白血病の検査もしないまま譲渡したりしているのよ。複数飼いをしていたら、先住猫に移っちゃうじゃないの。見に来た人にその場で猫を譲渡するなんて、他の会ではやっていないのよ。しっかりした団体では、猫を譲渡する時に不妊手術の代金を預かり、約束通り手術が完了したら預かっているお金を返すのよ。里親が約束を反故にして繁殖したら、何の為にやっているか分からないじゃない。里親先で繁殖した仔猫が、何倍にもなって里親会に戻って来たことだってあるのよ。それこそ、倍返し、いや三倍返し、六倍返し。猫のばら撒きよ」
「まあまあ」
麻雀屋さんが看護助士おばさんを宥めますが、取り付く島がない状況です。
(続く)

以上
管理人
2016.2.21

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。

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