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ズーノーシス:人と動物の共通感染症 その2 [閑話・ブログ管理人より]

== original column : by the cat advocator ==


ズーノーシス:人と動物の共通感染症 その2


「特に身近な、猫・犬と人の感染症」:
病状は個々の場合によって異なります。異常がみられる時は専門のお医者さんに御相談ください。


疾患名・主な症状・予防:

「猫ひっかき病」:(バルトネラ・ヘンセネラ菌)
==人==
3~10日の潜伏期後、傷口近くの腫れ、水泡、化膿、潰瘍、リンパ節の腫れ、発熱、悪寒、倦怠、食欲不振、頭痛等。
==動物==
多くは無症状
==予防==
咬傷事故の未然防止、傷口の洗浄・消毒。ノミの駆除。基礎疾患(糖尿病等)のある人は飼養・接触を避ける。


「パスツレラ症」:(パスツレラ・マルトシダ菌)
==人==
1日~3日の内に症状。傷口・局所の腫れ・発赤・化膿、発熱(37~38℃)傷が深いと、腱鞘炎、骨髄炎の場合あり。稀に敗血症、重篤化。
==動物==
多くは無症状、稀に傷口の腫れ等。
==予防==
猫引っ掻き病の場合と同じ。菌の吸入にも注意。

「犬ブルセラ症」:(犬ブルセラ菌)
==人==
1~3週間の潜伏期後、風邪様。発熱(微熱・平熱の繰り返し)、便秘、頭痛、悪寒、関節痛、筋肉痛、心内膜炎、肺炎、髄膜炎、精巣炎、リンパ節・肝臓・脾臓の腫れ。
==動物==
長期に尿中に排菌。流産、精巣上体炎等。
==予防==
感染犬・分泌物・排泄物との接触を避ける、埋蔵中の汚染に注意。


「レプトスピラ症」:
==人==
無症状~重篤化までさまざま。4日~2週間の潜伏期後、発熱、頭痛、出血、腎不全、髄膜炎、黄疸、眼症状(虹彩毛様体炎、硝子体の混濁)
==動物==
発熱、筋肉痛、口腔粘膜の出血、血便、腎炎、蛋白尿、黄疸等。 長期に尿中に菌を排出する。
==予防==
犬にワクチン(血清型/地域毎)、ネズミの駆除、野外作業時にはゴム長靴・手袋で防御。菌は乾燥、消毒に弱い。


「Q熱」:
==人==
多くは無症状。急性:発熱、頭痛、関節痛等、インフルエンザに似た症状。気管支炎、肺炎、肝炎、髄膜炎、腎臓障害。通常2週間位で回復。慢性だと、心内膜炎、肝炎、動脈炎、骨髄炎。死亡例もある。
==動物==
多くは無症状。猫は2~3日の微熱、長期の菌血症、死流産。
==予防==
清潔な飼養環境を保つ。汚染された塵埃の吸入・食物の摂取に注意。

「サルモネラ菌」:
==人==
吐気、嘔吐、下痢、発熱。小児、高齢者、免疫弱者は死亡する場合あり。
==動物==
多くは無症状。
==予防==
食品の加熱。手指の洗浄。


「クリプトコッカス症」:
==人==
髄膜脳炎の発症。鼻汁、くしゃみ、下顎リンパ節の腫れ、発作、沈うつ、運動失調、麻痺。
==動物==
人の場合とほぼ同じ。
==予防==
鳩の糞中に菌が多い。清掃。鳩糞、汚染された塵埃を吸入しない。


「皮膚糸状菌症」:
==人==
カビが毛や皮膚の角質に感染。発赤、皮膚炎等。
==動物==
円形脱毛、フケ、かゆみ、発赤、瘡蓋、皮膚炎。毛、皮膚、爪などに感染。
==予防==
早期治療、感染源を断つ。衛生環境に注意。感染動物と接触しない。

「エキノコックス症」:
==人==
肝臓に包虫が寄生、嚢胞を形成。黄疸、肝炎、死亡する場合あり。
初期は無症状なので、気がつかない。脳に嚢胞が形成される場合もある。
==動物==
犬や狐(終宿主)は無症状。
==予防==
糞便処理に注意する。
汚染された水・食物、虫卵の付着した被毛を避ける。北海道地域、感染発生地域での旅行・接触後は特に注意。


「犬・猫 回虫症」:
==人==
さまざまな臓器に侵入、幼線虫移行症。発熱、肝臓・脾臓の腫大。肺炎、 脳炎、眼幼虫移行症から失明例もある。
==動物==
欲不振、嘔吐、発育不良、小腸以外に寄生(迷入)すると、肝管に入り閉塞性の黄疸を起こす。胃に入る例も(虫を吐く)
==予防==
手の洗浄・消毒、土壌・砂場の消毒、虫卵の付着した毛を吸わない。糞便の早期処理(糞排泄後、2週間位で感染力を持つようになる)。

「トキソプラズマ症」:
(御参考:「妊婦と猫、トキソプラズマ(妊婦さんと猫の生活)」
http://tochigi-wannyan.blog.so-net.ne.jp/2008-08-12-1
==人==
一般に無症状。妊娠初期の妊婦が初めて感染し、原虫が胎児に入り込むと流産を起こしたり、出生後に重い脳症を起こしたりする場合がある。
==動物==
一般に無症状。発熱、運動障害等。
==予防==
糞便の早期処理。手指の洗浄・消毒。汚染された塵埃の吸入を避ける。感染した猫は糞便中にオーシストを排泄。2~3日後、オーシストは感染力を持つようになる。猫が糞便中にオーシストを排泄する期間は、初めて感染してから通常2週間位。猫の抗体がある程度上昇しているのに(過去に感染を示す)、糞便検査でオーシストが陰性の場合、既にトキソプラズマに感染して、オーシストの排泄が終わっている(人への感染の危険性無し)。<ラテックス凝集反応検査と糞便検査>:抗体を持っている人(過去に感染)は、免疫ができているので大丈夫。

以上
管理人


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